先生のお部屋訪問。

松本貴典。
仮面の男である。
彼の「成蹊大学経済学部助教授」と言う仮面は、
学生たちに厳しく近寄りがたい印象を残す。

しかし、誰もがその仮面の下の “松っちゃんの素顔”をみたい
と思っているのではないだろうか。

そこで、我々は、彼の仮面を引き剥がすために、
松本助教授の部屋の徹底的な調査を依頼する。
そもそも、部屋というものには、人間の個性や性格が反映されるものである。
今回の調査の目的は、
彼の素顔をあばくような情報を彼の室内から 入手するというところにある。

そこで我々は、その道の調査にかけてはエキスパートといえる工作員二名を
成蹊大学に送り込んだ。
以下はその調査内容。



成蹊大学10号館。
大学の全教授陣の総本山といえるこの建物の9Fの一室に、彼の部屋はあった。
極秘に入手したIDカードでドアを開けると、 そこには無機質な空間が広がっていた。

さすがは仮面の男。
部屋全体がどこかよそよそしい。
ざっと見渡した限りでは、
彼自身の素顔を脅かすような者ものは何一つ存在しないように思われる。
どうやら、思っていた以上に調査は難航しそうだ。

しかし、流し台の棚の上にある山ほどの常備薬を見つけたとき、
我々は喜びを隠すことができなかった。
ある情報によると、松本助教授はかなり病弱であるらしい。
持病はムチウチに腰痛。
ふつうに眠っていても首を寝違えてしまう かなりのツワモノである。
先年は、ドイツ製の洗剤の臭いに身体を壊し、
ゼミを休講にしてしまったという、報告書もある。


この発見を皮切りに、新たな物証が次々と発見された。



まず、冷蔵庫を調査する。
扉を開けてみると、山ほどのジュースとカシス酒が一本はいっていた。
どうやら松本助教授はかなりの甘党であると推察される。


そして、パソコンの上に置かれてあった観葉植物とサングラス。
サングラスはおそらく松本助教授がかけるものと思われる。
その脇では、観葉植物が気味が悪いくらい 生き生きと生い茂っていた。


とうとう我々は、強力な物証を手に入れることに成功した。
それは、巨大な本棚になにげなく収まっていた数冊の書籍である。


パソコン雑誌の中に埋もれるように置かれていた 「西洋占星術」の書籍。
それも、二冊もある。
どうやら、松本助教授は占いがお好きと見える。
これは、経済という現実的な学問を修めている人間は、
時に非論理的なものに走るという学説の有力的な証拠になるであろう。


そして、本棚の下の方に隠すようにおいてあった 「美人論」なる書籍。
これには、後日、工作員の一人が本人を誘導尋問にかけたところ、松本助教授は、
その本は、 日本の歴史において美人と呼ばれる人達が
犯罪者や悪人に多かったという視点からとらえた、非常に学術的な・・・・・。

などと、熱っぽく語っていたらしい。
しかし、実際にその物証を検証した調査員によると、 確かにそのようなことは書かれてはいたが、
実際はもっと俗な話題も掲載されていたらしい。



本件に関しては、引き続き詳しい調査を依頼する

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Writing by hikari