あなたの真剣でないお悩みに、
我が松本助教授さまが親身になってお答えします。

Case:1
東京郊外の大学に勤める48歳の大学教授です。
私は、この春まで、国防を担う某中央官庁との癒着が 昨今問題になっている某メーカーの広報部で、
広報誌に雑文を書いておりました。
今にして思えば、原稿料は400字詰め原稿用紙1枚あたり6,000円という 破格のものでしたし、
あまつさえ、昨年末の忘年会では、
赤坂の某高級中華料理店で、 コンパニオン付きで飲み放題に食べ放題
おまけに会場で行われた福引きでは6等 「ラコステ製靴下2足セット」 まで当たってしまいました。
警察に事情聴取されるのではないかと、 大変心配しております。
若干の現金とパスポートは用意しました。海外へ逃亡した方がよいでしょうか。
なお、天下り先の斡旋はありませんでした。

ありがたいお話
それは大変なことをしてしまいましたね。
原稿料はともかく「ラコステ製靴下2足セット」はねぇ。
警察すでにあなたをマークしていると思われます。

大学の先生に企業や官庁との関係ができるのは、 ある意味でやむを得ない部分があります。
大学の先生から見ても、彼らと全く無関係でいると、
資料を提供してもらえない
学生の就職を引き受けてもらえない
小銭を稼げない
など不便な部分があり、
企業や官庁としても、自らの意見を大学教授に上手くバックアップしてもらって、
ハクを付けたいという欲求があります。
この関係を絶つと、お互いチャンコが食えないこともあり、
お互いの距離感には難しい部分があります。
たとえば、あまり官庁との距離を近く取りすぎて 、政府の○○委員 などをいくつも兼任すると、
周りから、やれあいつは御用学者だの堤灯持ちだなどと侮られるとこになります。
その最右翼である人物が、例の臨調で活躍して現在千葉
(・・・・・・・・内容過激のため256MB抹消・・・・・・・・)です。

警察対策としては、彼らに、 自らがまじめな人物 であることを印象づけることが第一です。
毎年何百冊とテキストとして学生に売りつけている御高著
『現代日本の○○○○と△△△△』の印税は全て慈善団体に寄付し、
二日酔いだといって休講をせず、
学会出張の名を借りた観光旅行は取り止め、
研究室の本棚の裏に隠し持っているウィスキーは早めに処分し、
悪所通いを慎んで例の病気を早く治し
清廉な生活をなさることをお薦めします。




Case:2
21歳の女子大生です。
普段から人にかつがれやすくて困っています。
この前も「滑舌」を知らなかったところ、
食べると口の回りが良くなる中国産の野菜だ」と教えられ、
八百屋に買いに行って、大恥をかいてしましました。
自分でも、あまりにも簡単にかつがれる性格がいやなのですが、
今度は、友人から有名な「ミロのヴィーナス」の右手は、
実はとんでもないことをしていたと教えられました。
また余所で話して恥をかいたら、もう立ち直れません。
「ミロのヴィーナス」の右手は何をしていたんですか。

ありがたいお話
たぬき蕎麦500円、しっぽく700円、 天ぷらうどん850円、親子丼800円・・・・・・・・。
あっ! あまりの難問に、 思わず近所のそば屋のお品書きを 書き写してしまいました。
いきなり、美術史上最大の難問についてのお問い合わせですか。

よく図書館の玄関などに「ミロのヴィーナス」の像がありますよね。
あの有名な彫刻は、別名「メーロス島のアフロディーテ」とも呼ばれています。
これは「瀕死のガラティア人」の彫像などとならぶギリシア彫刻の傑作で、
現在、ルーブル美術館に・・・・・・・・。

えっ?そんなことは高校の世界史でやって知ってるって?
そうですね、ご質問はこんなことではないのですよね。
う〜ん。困りました。「ミロのヴィーナス」には、 現在確かに両腕がありません。
もちろん昔はあったのでしょうが
(ただし、ヴィーナスの両手はすでにローマ時代には失われていたそうです)、
その両腕は何をしていたのでしょうか?

これは、美術史上最大の難問の一つと言われた謎です。
このテの難問の謎解きをするには
歴史的想像力」をフル稼働して
考えなければならないと思います。
例えば、合理的に考えれば、Aという戦略を採ることがベストなのに、
にもかかわらず、その企業の経営者はBという戦略を採用したのはなぜか?、
なんて問題を考える時に、この「歴史的想像力」が必要なのです。
つまり、具体的には、自分がその経営者で、
そのシチュエーションに置かれたらどう行動するかを虚心に
想像してみる
ということですよね。

では「ミロのヴィーナス」の両手の問題に関して、
この「歴史的想像力」を応用してみましょう。
多くの研究者が文献や史料を使って長年研究した結果、
「ヴィーナス」の左手は、アダムがかじった林檎を篭に入れて
捧げ持っていたことが明らかにされてきており、
これがオーソドックスな説となっています。
でも、右手は何をしていたのかは、いまもって解明されていません。
では、右手は何をしていたのでしょうか? 
ここで「歴史的想像力」の登場です。

さあ、あなたはお風呂上がりです。
ベッド・シーツがベストですが、なければバスタオルでいいでしょう。
それを火照った身体に巻きつけます。
林檎の入った篭はおそらく手元にはないでしょうから、
左手には洗濯物の入った脱衣篭を持ちましょう。
即席「ミロのヴィーナス」の誕生です。
多少ナルシスっぽい気分になってきた時 (バカバカしい気分になることも多いでしょうが)、
何ということでしょう。
きつく結んでおいたはずのバスタオルがほどけてきてしまいました。
ハラリ・・・・・・・。
その時あなたならどうしますか?

多くの研究者が挑み、いまだに解明されない謎・ 「ヴィーナス」の右手は何をしていたか?
でも、「歴史的想像力」を駆使できたあなたにはもうわかったでしょう?

そうです。「ヴィーナス」の右手は、 ずり落ちそうになる衣を押さえていた に決まってますよね。
ご質問にあった「実はとんでもないことをしていた」というのは どんなことなのか、
個人的には大変興味がありますが、 正解はこんなところではないでしょうか。

つづく?